プレスリリース

2016.09.30 更新

【ニュース】医療用HAL®単脚モデル、脳卒中患者を対象とした医師主導治験が開始 ~医療機器承認とサイバニック治療の拡大に向けて~

 当社の医療用HAL®については、両脚モデルが神経・筋難病疾患患者を対象に新医療機器として薬事承認されておりますが(2015年11月25日ニュース)、本日9月30日より、新たに脳卒中患者の歩行能力回復を目的とする「医療用HAL®単脚モデル」の医療機器承認のための医師主導治験が、筑波大学附属病院および茨城県立医療大学付属病院にて開始されることになりました。
 本日、筑波大学および茨城県立医療大学より発表されましたので、お知らせします。

(リンク)
筑波大学付属病院ニュース
茨城県立医療大学付属病院ニュース

ーー以下、原文を引用ーーーー                 
                     平成28年9月30日
                     国立大学法人 筑波大学 
                     茨城県立医療大学

  脳卒中後の歩行能力回復を目的とする「医療用HAL®単脚モデル」の医師主導治験を開始
   ~医療機器承認とサイバニック治療の拡大に向けて~  

 筑波大学附属病院(病院長:松村明)および茨城県立医療大学付属病院(院長:和田野安良)は、9月30日より、脳卒中患者の歩行能力回復を目的とする「医療用HAL®単脚モデル」注1)の医療機器承認のための医師主導治験注2)を開始します。
 筑波大学附属病院と茨城県立医療大学附属病院では、CYBERDYNE株式会社(代表取締役社長:山海嘉之)と連携し、2013年より、脳卒中患者の歩行障害の新治療を目指した臨床研究を行ってきました。この度の治験では、これまでの研究成果を基に、医療用HAL®の治験モデル「HAL-TS01」(治験用機体識別番号)の医療機器承認を目指します。本治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療機器開発推進研究事業による支援を受け、筑波大学附属病院が中心となり、茨城県立医療大学付属病院など7施設での実施を予定しています。

《背景と経緯》 
 現在、脳卒中患者の歩行障害に対する治療が行われていますが、障害の程度によっては歩行能力回復に限界があり、患者の社会復帰の妨げとなっています。これまでの我々の臨床研究において、このような患者を対象に医療用HAL®を使用したところ、従来の歩行能力回復の限界を超えて、更なる回復を期待させる結果を得ています(投稿論文採択済み)。これは従来の治療では達成できなかった効果です。
 本治験では、このような医療用HAL®の「歩行能力回復の上乗せ効果」を検証します。本治験の実施については、筑波大学附属病院の治験審査委員会の承認を受けており、2016年8月31日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届を提出しました。
 医療用HAL®両脚モデルは、筋萎縮性側索硬化症や筋ジストロフィーなどの緩徐進行性の神経筋難病疾患患者を対象とした、進行抑制治療における歩行機能改善治療を行うことのできる新医療機器として、2015年11月25日に薬事承認されています。本治験の対象疾患である脳卒中は、患者数が117万9,000人と非常に多く、その医療費は1兆7,730億円と国民医療費を圧迫している上、麻痺等の後遺症によって介護が必要になる原因疾患の第1位でもあります。脳卒中患者に対する医療用HAL®によるサイバニック治療注3)が実現すれば、医療現場へのロボット治療機器の更なる普及が促進され、我が国の社会課題の解決の一助になることが期待されます。

《本治験の概要》 
 本治験は通常の治療では十分な歩行能力の回復が得られない患者を対象にしています。治験は前観察期、治療期、後観察期の3期からなり、前観察期では通常の治療を行っても歩行速度(歩行能力)の十分な回復が得られず、回復が滞ってくる状態を確認します。治療期では、そのような患者をHAL治療群と従来治療群(対照群)に分け、HAL治療群では医療用HAL®単脚モデルを利用したサイバニック治療を、対照群では従来の歩行に関する治療を、5週間に渡って施行します。治療期終了時に歩行速度を評価し、治療効果を確認します。後観察期では従来治療を行い、治療効果の継続を確認します。
 なお、本治験には下記の主な参加登録基準があります。
【一次登録時(前観察期への参加登録基準)】
 ①脳血管障害(脳出血または脳梗塞)による片側運動麻痺(片麻痺)を有する方
 ②本人による同意が可能な方
 ③満18才以上の方
 ④脳卒中発症後5ヶ月以内の方
 ⑤HAL®の装着が可能な方
 ⑥治験期間中の入院が可能な方
【二次登録時(治療期への参加登録基準)】
 ①前観察期の最終の10m最大歩行速度が30-60 m/minの方
 ②前観察期の治療を行っても十分な歩行能力の回復が滞ってきた方(プロトコールの基準によって判定する)
その他にも選択・除外基準があります。

《本治験の実施体制》
本治験は、以下の体制で実施されます。
【治験調整医師】筑波大学附属病院脳神経外科 准教授 鶴嶋 英夫
【治験実施予定医療機関(予定)および各機関の治験責任医師】
 1.筑波大学附属病院 准教授 羽田 康司
 2.茨城県立医療大学付属病院 教授 河野 豊
 3.国立病院機構新潟病院 副院長 中島 孝
 4.福岡大学病院 病院長 教授 井上 亨
 5.志村大宮病院 副院長 大仲 功一
 6.筑波記念病院 脳神経外科部長 中村 和弘
 7.福岡リハビリテーション病院 副院長 入江 暢幸

《用語解説》
注1)医療用HAL®(Hybrid Assistive Limb®)
 筑波大学システム情報系山海嘉之教授(筑波大学サイバニクス研究センター長)により開発された革新的サイボーグ型ロボット治療機器。随意的な運動意思に対応した微弱な生体電位信号で作動し、人の身体機能の改善・再生を促進します。この技術は、筑波大学での基礎研究開発からCYBERDYNE社での医療機器としての製品開発を経て展開されていますが、筑波大学との共同研究も引き続き実施されています。今回の治験では、そのうち、既に緩徐進行性の神経筋難病疾患を対象とする新医療機器として承認を受けた医療用HAL®両脚モデルの別バリエーションである単脚モデル(治験での機体識別番号HAL-TS01)を使用します。

注2)医師主導治験
 医師が主導して行う治験で、主に、1)希少疾患等で市場性等の理由から企業が開発を行わない場合、2)医師等の研究者が自らの研究の成果の実用化を図る場合、の2通りがあります。本治験は後者に該当します。

注3)サイバニック治療
 筑波大学発の新学術領域「サイバニクス(人・ロボット・情報系の融合複合)」を駆使した身体機能の機能改善・機能再生治療。

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