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プレスリリース

2022年10月28日 更新

【ニュース】医療用HAL®、HTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性痙性対麻痺の適応追加に係る医療機器承認取得のお知らせ

CYBERDYNE株式会社(本社:茨城県つくば市、代表取締役社長:山海嘉之)は、10月27日付けでHAL医療用下肢タイプ(一般的名称:生体信号反応式運動機能改善装置、以下、「医療用HAL®」)について、2021年8月24日にHTLV-1関連脊髄症(以下、「HAM」)(※1)および遺伝性痙性対麻痺(※2)の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を提出しておりましたが、この度、承認の結果が通知されましたので、お知らせします。

今回の承認は、国立病院機構新潟病院の中島孝医師が調整医師として実施した医師主導治験「希少性神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器、生体電位等で随意コントロールされた下肢装着型補助ロボット(HAL-HN01)に関する医師主導治験 -HTLV-1関連脊髄症(HAM)等の痙性対麻痺症による歩行不安定症に対する短期の歩行改善効果についての多施設共同無作為化比較対照並行群間試験-(NCY2001試験)」の結果に基づいています。

医療用HAL®は、ALS等の進行性神経筋難病8疾患(※3)において既に承認されていますが、今回のHAMおよび遺伝性痙性対麻痺の適応追加に係る承認を加え、世界的に有効な治療法が確立されていない進行性難病よる歩行不安定症や機能障害を改善する標準治療として確立されることが期待されます。当社では今後、HAMおよび遺伝性痙性対麻痺患者さんに医療用HAL®による治療を行った際に各医療機関で診療報酬算定ができるように保険適用に係る手続きを進めます。

< 国立病院機構新潟病院院長 中島孝医師のコメント>
HAMは進行性の歩行障害を来す難病であり、HTLV-1ウイルスキャリアの分布地域、すなわち、日本、カリブ海沿岸諸国、南アメリカ、アフリカ、南インド、イラン、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国等において、治療法の開発が待たれていていました。今回、わが国の治験(NCY-2001試験)において、医療用HAL®によりHAMの歩行改善効果の検証試験が世界で始めて成功したことは画期的であり、全世界の専門医師から驚きとともに高い評価を得ています。さらに、日本でまず始めに、正式に適応拡大されたことで、今後世界でも標準的な治療法として普及できると考えられ、日本から世界に対する経済的・人道的に重要な貢献になると考えています。
運動単位(脊髄運動ニューロンとそれに接続する筋線維)に病変を持つ患者群(進行性神経筋難病8疾患)に対して医療用HAL®の改善効果はすでに検証(NCY-3001試験)されていましたが、今回、運動単位より上位の中枢神経病変により進行性の痙性対麻痺を来す疾患であるHAM及び遺伝性痙性対麻痺において、通常の歩行運動療法を有意に超える歩行改善効果(主要評価項目および臨床的に重要な副次評価項目において)が検証(NCY-2001試験)されました。この2試験の成功により、サイバニクス治療は病変部位によらず、すなわち病変部位が運動単位やそれより上位であるかにかかわらず、iBF(interactive Biofeedback、インタラクティブバイオフィードバック)による神経機能再生を起こすことが示され、医学的に医療用HAL®は、幅広い病変部位に対して有効であると考えられます。今回のNCY-2001試験結果が審査当局により高く評価されたことで、今後もさらなる適応拡大にはずみがついたと考えることができます。NCY-2001 試験の治験結果の詳細は、国際医学雑誌にて現在公表を準備中です。

<NCY2001試験について>
「HTLV-1関連脊髄症(HAM)等の痙性対麻痺症による歩行不安定症の患者が、希少性神経・筋難病疾患に対して開発された、HAL®︎下肢タイプ(以下、「HAL-HN01」)を定期的、間欠的に治療的に装着し、適切に筋収縮を助けることで、歩行不安定症などの疾患の進行が抑制される」という仮説のもとで、当該患者に対するHAL-HN01の歩行改善効果などの有効性と安全性を評価することを目的に実施した医師主導治験です。
・有効性の主要評価項目:2分間歩行テスト(距離、歩行持久力を示す)
・副次的評価項目:10m歩行テスト(速度)、患者自身による主観的歩行評価(Patient reported outcome measure:PRO)、医療従事者による歩行評価、納の運動障害重症度(OMDS)、痙性(Modified Ashworth scale : MAS)評価、下肢クローヌス持続時間(SCATS Clonus scale)、徒手筋力テスト(MMT)、ADL評価(Barthel index)、HAL-HN01の使用に関する操作者の評価
(参考リンク)
日本医師会 治験促進センターの臨床試験登録システムJMACCT ID:JMA-IIA00257
https://dbcentre3.jmacct.med.or.jp/JMACTR/App/JMACTRE02_04/JMACTRE02_04.aspx?kbn=3&seqno=5969

本試験は、H24〜H26年度 厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患実用化研究事業、「希少性難治性疾患-神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器、生体電位等で随意コントロールされた下肢装型補助ロボット(HAL-HN01)に関する医師主導治験の実施研究」(研究代表者 中島孝)の一部及び、H27〜H30年度 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)研究費 難治性疾患実用化研究事業「希少難治性脳・脊髄疾患の歩行障害に対する生体電位駆動型下肢装着型補助ロボット(HAL-HN01)を用いた新たな治療実用化のための多施設共同医師主導治験の実施研究」(研究代表者 中島孝)において、医師主導治験として、国立病院機構新潟病院、聖マリアンナ医科大学病院、京都府立医科大学附属病院、福岡大学病院、国立病院機構徳島病院、筑波大学附属病院、鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 霧島リハビリテーションセンター、国立病院機構村山医療センターにおいて実施したものです。当社は厚生労働省科学研究費補助金の研究分担者として、さらに、国立病院機構新潟病院がAMEDと2017年4月1日付で締結した委託研究開発契約に基づく国立病院機構新潟病院(研究代表者中島孝)からの委託研究開発として参加しました。

※1 HTLV-1関連脊髄症(HAM):
患者数が全国で推定3000名の希少疾患で、指定難病26の対象疾患となっています。脊髄が次第に傷害されることで、歩行困難、排尿・排便障害、足のしびれや痛みなどの症状が進行し、最終的には車いすや寝たきりの生活を余儀なくされる難病で、深刻な生活の質の低下を引き起こします。

※2 遺伝性痙性対麻痺:
痙縮を伴って筋力の低下が徐々に脚部にあらわれるごく稀におこる遺伝性の病気で、指定難病18(多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症の項目内)の対象疾患となっています。どの年齢からでも発症する可能性があり、過剰な反射、痙攣、麻痺がおこるために歩行が困難となってきます。

※3 進行性神経筋難病(8疾患):
脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー

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